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2013/03

エントリー

馬鹿が四月でやってくる(fol)

  • 03.31
  • 2013

明日は四月。新生活や新学期、そして言わずと知れたエイプリルフールでございます。
四月馬鹿、なんとなく、webだと企業、個人問わず嘘(ネタ)を挟む日のような気もしたり。
ちなみに、BRANZNEWは平常運行で行きますのでご安心を(?)
と、言うわけでもないのですが、またまた雑記です!

さて、何を書きましょうか? ネタがない(即答)\(^o^)/

……などと冗談はおいておき、なんとなくのフワフワした感じですが、fol個人の同人ゲーム制作法みたいなものを少々語らせていただこうと思います。
短くまとめてしまえば、好きなことを形にすればいいじゃん、なのですがそれだと身も蓋もないですね、はい。なので完成第一を信条とする箇条書きでお送りします。

 

1、始まり(必要なもの:紙orメモ帳(アプリ)
まずありったけの夢や情熱、嗜好や興奮、欲望もろもろと、やりたいこと書き連ねましょう。
企画書です。文章の態をなしてなくてもOKです。
制作の柱となる『何がしたいか』目的が、いつでも確認できる状態にするのが好ましいです。
少しの理性でアクション、RPG、ADV。やりたいジャンルも決めておくと、なおgoodです。
しかし、人に見せる場合はきちんと校正して見やすい形にしましょう。
基本は『何がしたいか、また、するか』を明確に。

 

2、調べる(必要なもの:パソコン)
やりたいことを少し明確にしたら、次は手段です。
今の世の中(ネット)は大変便利です。ゲームを作るためのツールや材料はぐるりと見渡せば大抵のものは見つけられると思います。
少し工夫して自作するなどは現状と相談するのが望ましいとでしょう。またこの時、クオリティが……などと出来栄えを卑下してはいけません。
まずは目に見える形でゲームを完成させることが重要です。
ほとんどのツールはゲーム自体が完成していれば、素材を入れ替えるだけであとから変更する可能なので。とりあえず、足りなくても後から追加すればよいと、気楽に進めましょう。

 

3、作る(必要なもの:少しばかりの情熱)
1、2で用意したものからゲームを組み立てていきます。
ジャンルによって制作の作法は異なりますが必要なものは上に挙げたとおりです。
もちろん、熱意などは個々人によって違いますので己自身にあった型を見つけましょう。
私の場合は、遊びのように楽しみながら作る! ということを心掛けています。

 

4、世に出す(必要なもの:完成したゲームと勇気)
苦労の末に、ゲームが完成したら発表です!
即売会などのイベント、ネットでフリーゲームサイトやダウンロードサイト。自サイトなどと含めれば色々な手段がありますので自分にあった方法を模索しましょう。世に出れば、あとは誰かがプレイしてくれることを祈るのみです。

と……まあ、大体こんな感じ?
個人製作する場合に重視するのは、完成させることです。
当たり前のことなのかもしれませんが、どんなに綺麗な絵も、素敵なシナリオやボイスも、企画がなくなれば作品という形で日の目を見ることはまずないでしょうから……
つまり! 『MOTTAINAI』ということです!!

偉そうに書かせていただきましたが、ゲーム制作は基本的にかっちりと決まった形はないと思います。少しでもゲームを作ってみたい、以前に挫折した、という人にまた挑戦してもらえる切欠にでもなれば! は……言いすぎですが、あなたの個性にはきっと価値がある!

あと、ゲーム制作、楽しいですよ♪

夢と現実(藤田)

  • 03.25
  • 2013

書いてる途中でブログ本文が消失したとか、そんな事は他人の夢と同じで、実際は他人には良くわからないものなのですよ。

それでもあえて言いたくなる。

書いてたブログ本文が消滅しました。消滅しました……

でも同じ事をもう一度書くのは面白くないので別の話を。消滅した本文は読んだ人は感涙でむせび泣き映画化が持ちかけられるような素晴らしい出来だったんだけどな、残念(いうだけタダ)

さっきウトウトしながらプロ野球選手になる夢を見てたんです。それだけで色々突っ込みどころのある夢なのですが、その中で更に夢を見る「夢中夢」という状態になりまして、その中では風俗店の店員をやっていました。で風俗店の店員をやりながら「おかしいなー俺は確かプロ野球選手なはずなのに……これが本当は夢だったらいいのに」って思って夢の中で目を覚まして夢の中で「夢だったのかー良かったー」となる、自分で説明しててもよく分からない夢の見方をしてました。

で、夢なので場面がぶっ飛んで突如オープン戦の打席に俺は立ってます。そこで冷静に戻ったんです。「どうやってボールを打ってたのか思い出せない」と。正確に言うと経験した事が無いのだから知らないのですよ。それに非常に焦りましてようやく「自分がプロ野球選手じゃなかったような」って思ってくると目の前が歪み始めて「そうだ、おれ交通誘導員だった」って思い出すして、ようやく現実に目を覚ましたわけです。

こういう目の覚め方は自分は割りと多くて、一番多いパターンは「高校生に戻ってテストに挑むもまったく分からず焦っていたら『そういえば俺は高校生じゃなかったー』」って思い出して目を覚ます、と言う流れです。

夢のままで終わっておきたかった様な夢は大抵目覚ましで起きる必要がある時ですね。それで「夢の続きを見たかったなー」って思いながら二度寝して続きは見れず次に目を覚ました時に時計を見て心臓が止まるような思いをするわけです。遅刻しました。

ふむ、やはり他人には良くわからない気がする。そもそも製作中のゲームともまったく関係ない!……まぁそれはいつもか。

でも最近は現実も悪くないな、って思って生きられる有難い状況なので、夢と同じで終わりは来ますが、それまでは満喫したいものです。

深夜のままの私で(藤田)

  • 03.17
  • 2013

朝三時までサークルのシステム班と打ち合わせしてまして。終了後そのまま空きっ腹にビールをぶち込みまして。その後の記憶は無いんですがメロンパンとラーメン食べたっぽい残骸があり、夕方まで寝てればいいものを今目が覚めて、深夜の疲労一周して気力限界突破なテンションを維持してますが、いつダウンしてもおかしくないと思うので今ブログ更新。

ガドル・ヴァイクラン!!

叫んでみただけです。天気がいいです。今なら空も飛べそうです。同じ時間まで会議してたメンバーさんがほぼ寝ずにそのままイベントに行ったっぽいのをツイッターで確認してちょっと心配です。

サイキック斬を使う!!サイキックウェイブ!!

叫んでみただけです。なんで「サイキック斬を使う!!」って宣言してるのにサイキックウェイブを使うのでしょうか?フェイント?昨日スーパーの駐車場警備してたら凄い可愛い女の子が幸せそうに男と手を繋いで買い物してたので後ろで心の中でサイキックウェイブ!!って叫んで手のひらを向けて攻撃してました。俺は何がしたいんでしょうか?

我に断てぬものなし!

思い出したんですが昔営業として働いてた時に新年会で書初めやったんですが、ゼンガーに嵌っていたので一般人ばかりの中「剣魂一擲」と書いてドヤ顔してた記憶を消したい。上司(女性)に「面白くないから『チ○コ』とか『脱童貞』とか書けよ空気読めよ!」って言われました。

アインス!ツバイ!ドライ!

そのクマさんパンツは見えてるんじゃなくて見せてるんです。幼馴染のパンチラより食い気、というのは健全な青年として正しいのでしょうか?彼のペンチでぶん殴るだけは威力が低いのに、別の人の杭打ち機はブラックホールより威力があるのはそういう事です。同様に簡単にパンチラするから火力が低いし射程も中途半端なんです。幼馴染にエロはいらぬ一途ささえあればいい。

ようやく幼馴染ネタにたどり着いたー朝方まで会議が長引いたのはその「一途さ」をゲームとしてどう取り扱うか紛糾しまして。

「プレイしていて自然に一途になるのが理想だけど、クリア条件にそれを強要するのは違うんじゃない?」

という意見のシステム班。一方のシナリオ班は

「幼馴染は一途であるべき、という信念をベースに作るのだからこちらとしてもそういうプレイをある程度クリア条件にしたい」

という意見でまったくの逆でして。どちらの言い分も一理ありますが、一長一短でもあり。

俺が企画進行統括なのだし「これが俺の幼馴染だー!!」で進める時も必要なのでしょうけど、頻発させたら誰もついてこなくなるのは明らか。ムツカシイネー。

でも積極的に意見を出しても死に意見にならない、って思って貰える様に今のうちに積極的に意見が出せる場を用意するのが必要かな、というのが今の方針です。何度深夜に及ぼうともまだまだ納得するまで話し合いますよー!

……駄目だ。やはり最後で急に真面目な話にしようとするのは駄目だ。でも最後まで意味不明な芸風で終わらせる勇気も無い。

またアクセス数の傾向がまったく読めない状態なのですが「こんな変な奴の作るゲームならやってみよう」という状況を俺は狙って暫く頑張ってみます……

 

 

幼馴染の人権(藤田)

  • 03.11
  • 2013

幼馴染設定が好きなんですがね、自分としては「あなたが『幼馴染』と思ったらそれは『幼馴染』だ」ぐらいに思ってたんですよ。

でも蓋を開けてみると「幼少期一緒に過ごした期間・親密さ・関係・シチュエーション・年上年下・恋愛感情の有無・一途さ」etc

あんなに穏やかだったシナリオ班が「幼馴染とは何を持って成立するか」の議論でかなり頑な意見のぶつかり合いがありまして「幼馴染原理主義者」を自称している自分より他の人たちの方が拘りがあってビックリ。ワシはまだ甘かったんか……

嫌いな人は大嫌いな設定ではありますが、割と人々の心を掴みやすい傾向にある設定「幼馴染」

ギャルゲと相性良いと思ってましたが、女性も好きな人が多い設定らしく少女マンガでも定番(幼い頃が舞台になって現在進行形の幼馴染もありますが)となってるようですね。瞬ちゃんカッコイイ!瞬ちゃんカッコイイ!(二回)

新企画を立ち上げてから「幼馴染」についてやはり見聞を広めて他のメンバーに企画立案者として対応できる知識を身につけようとネットの海をフラフラしてたんです。そして気がついたんです。

皆さん、「幼馴染」と「性」を結び付けすぎじゃないですかね?

男性向けに関しては、これはもうどうしょうもないかもしれません。エロゲの幼馴染登場率が非常に高いのは昔から。でも何か最近の傾向としては「幼馴染」は「本命じゃないけど気楽にエロい事してもいい」みたいな扱いが非常に多い。もしくは酷いのだと「他の男性と付き合っていた幼馴染を主人公が寝取り別れさせた後、袖にする」とか……

「男って女の子を大切にしないよねー」と思って読んでいる方、男同士なら「幼馴染」だから何でもさせていいわけじゃないですよ?「分かり合ってる二人だからちょっと過激な事も」って、その発想は男性向けと何も変わりませんよ?そこにそんなものは入らない!そんな粘液は出ない!

「これだから男も女もオタクは……」って思ってるそこのリア充気取り!「幼馴染」で検索すると出てくるのは「恋人同士じゃないけど幼馴染とのエッチはありですか?」とか「幼馴染と性行為に及んだけど拒まれた。どうすればいい?」みたいな相談が乱舞してるんだよ!君ら結局「幼馴染とイヤラシイ事した」のを自慢したいだけやろー!!

……あれかな、肉親に対する性欲って言うのは正常な発育環境においては発露しないようになってるんですが、肉親に近い関係だけど血の繋がりの無い異性って男女問わず肉欲的に引き付けられるんですかね?

我々は「幼馴染は『清く正しく爽やかに!そして一途に!』」をモットーにして作ります。幼馴染はね、大切にしてこその幼馴染なのですよ……一途であってこそなのですよ!奪われつつある幼馴染の人権を取り戻し、幼馴染=安易にエロと言う流れを破壊し、この世界を新しい構造に作りかえるのだー!!

とまでは行かなくても、あなたの身近な大切な人をちょっと大切にしたくなる物語、を今回は目指していきます。

……散々エロエロ言って爽やかそうに締めるのは無理があるかー

じゃあ幼馴染はちょっとおっぱいがあったほうがいいです。だって触らせてくれそうだしー、怒らないかもだしー、気さくにエロイ事出来そう。

……ん?ああ、勿論基本はつるぺた派ですよ?

……そういうことじゃないですね。何故、何故幼馴染はここまで人をエロに誘うのか……孔明の罠だ……

お試しSS 八幕(fol)

  • 03.03
  • 2013

 シミテールの思考に空白ができた。
「――は」
 吐き出したのか吸い込んだのか、紡いだのは息ともつかぬ擦れたもの。 
 人である。そう告げられた言の葉は場の根底を覆すものであると解し、また疑問する。
 正体を見破った訳でもなく、安全を脅かすであろう『建前』を自ら明かしたのだ。
 視線の先、正面に対する八夜に気負ったものはない。今、この時も変わりなく会話が続いているのだと態度で示し、次の動きを待ちわびるかの如く口を閉ざしていた。

 暫しの沈黙。まるで大げさに反応した己こそが失敗であったかのような空気。闇に浮かぶ眼のひとつを塞いで言葉の意

味を吟味する。そうしてゆっくりと空気を取り込み、蛇の口で、
『これは……面白い冗談を。人を食った、話し方こそ我らには相応しいか』
 落ち着きを取り戻すよう人の体と共に哄笑した。
「冗談ではありませんよ?」
 八夜は涼しい顔のまま人の言葉でさらりと流した。
 ゆえに蛇の舌先、喜の感情は若干の笑みを残して怪訝なものへと強張らせる。
『匂いは同族、しかも妖異(われら)の言葉を解するのにか?』
「あなたという、人に紛れる妖異がいるのです。逆もまたありえませんか? 例えば、妖異が気まぐれに人の赤子を育てた、そういうことだってあるかもしれませんよ」
 その返答、嘘でも冗談でもないと語る瞳を睨み返すという行為を以って胡乱な空気は方向性を得た。
 疑念は不信に、警戒は悪意に、肌にひりつくものへと変貌する。

 ただ同時、問いも生まれていた。
『伊達か酔狂か。ただの人であるならこの状況、如何にするするつもりだ?』
 なんらかの切り札があるのかもしれない。しかし人を利用する妖異として状況的有利からか、余裕の表情へと変えてシミテールは問う。
 自身が人ひとりに劣ると見られたのならば、それは軽く見積もられたと憤るべきであったが根本は純粋な興味であったかもしれない。自ら罠に飛び込んだ人間だとするならば、何故?
 人の中で生きる妖異であるからこその疑問。ただ人を喰らう魍魎であったなら意識する必要もない些細なこと。
 意趣返しと、シミテールは八夜の返答を待つように睨みを利かせた。

 

「逆上はしませんか」
 八夜は思ったままを口にして肩の力を抜いてみせた。
『しないと判断しての振る舞いだろう』
 注意深くと差し向けられる害意に正面から平然と対し、八夜は心の中で残念を思う。
 いきなり襲いはしませんでしたか。
 怒りに駆られ直情をしてくれれば逃げるだけでよかったのに。そんな手は使えなくなった、と。

 シミテールという妖異の恐ろしさは大勢の死体を操ることよりも、知略謀略を用いた時にあると八夜は考えていた。
 真新しい死体、それも損壊がなければ人同然。忍び入るには蛇の身がある。どんな賢君忠臣であろうとも中身を代えられてしまっては意味もなく。下剋上の世であればこそ裏切りも易く成立し、疑心暗鬼はさらなる不安を呼び込んで人の世を切り崩して行くことだろう。
 だからこそ討てる機会を逃す手はなく。シミテールがこの夜、闇に消えぬようにと八夜は自らに平静を課す。自然、漏れ出る懼れを握っていた鉄砲へとより力を込めることで紛らわせていた。
 弾も込められておらず武器としての役に立つ訳ではなかったが、相対することへの恐怖を和らげることには成功していると内心で自嘲して状況を確認する。

 相手の睨みは鋭くとも動く気配は感じられない。
 道すがらのみだが目立つ腐臭はなかった。こうして膠着する以上すぐに出せる手勢がシミテールにはない。
 一対一となれば、ほぼ人と人の争いと変わらず逃げに徹するだけなら問題はなかった。

 まずは、成功でしょうか。
 言葉を飲み込み息を抜く。すべては仮定。安心には程遠いと、そして問題は解決した訳ではなく気は抜けないと押し黙れば、
『もうひとりの人間が助けに来るとでも?』
「どうでしょう。それに貴方のほうが詳しいでしょう?」
 言葉の後、蛇の眼が微かに歪んだのを八夜は確かに見た。そうして口の中で強気を形作る。
「もしも、仮に、ですが。貴方はこの国で普通に生きる心算はありませんか?」

 ほう、と興を持った声が零れる。そして矢継ぎ早に、
『同情か? それとも、人間風情が勝った心算で見下しているのか』
 シミテールの言葉に八夜は違うと首を振る。
「いいえ。この言は純粋に興味からです。妖異というものは人と違い自由なようでいて型に嵌るものだと思っています。話の限りではありますが貴方はどうにも怨嗟や執念めいた感情が原理なのでしょうが、それらを忘れてこの国の野に根付くことできませんか?」

『面白い話だが、ただしそこまでだ。結局それはどこまで行ったとしても時間稼ぎでしかないわけだ。なら――」

 言葉が区切られ瞬間、八夜は見た。双頭の蛇の持つ四つの眼に動きが宿るのを。
 意図と直感、両者はじかれたように動き出す。
 シミテールは行灯を手繰り寄せると、互いを仕切る机を八夜のほうへと蹴倒した。対する八夜は抑える動きから逃げるべく後ろへ飛び退く。
 後退する勢いは素早く減衰しない八夜は鉄砲を積んだ箱の山をも押し払い部屋の壁へと背中を当てた。
 箱が崩れ中身を吐き出して室内に荒々しく音が転がる。
 そんな中、八夜と反対側から小気味良く小さな音が跳ねた。それを合図と両者構える。
 シミテールは片手、銃として鉄砲を。
 八夜は両手、棒のようにして鉄砲を。
『それは何かな。新しい使い方かね?』
「せめてもの抵抗と笑ってくれますか、それとも堂に入ってますか」
『なら苦し紛れと信じようか』
「そちらこそ、弾は込められているんですか?」
『お互い、余裕はないようだな。可能であれば生け捕りがよかったのだがな』
 言う蛇は舌で舐めるように笑み、鉄砲から伸びた火縄を行灯の中へと垂らした。
 縄に染み込んだ油を食むようにゆっくりと火が這い上がり、大きく静か確かに揺れる。
 十分に火が昇り引き金を引くまでの僅かな間、八夜は自らの胴を捉えた砲口を覗くも意識は目ではなく耳にあった。
 死を覚悟でもなく、神に祈るでもなく。ただ耳を澄ませ――
 そして声を聴く。流れる風に乗った小さな小さな言霊を。

 

 炸裂したのは耳をつんざく火薬の嘶き。
 砲身から弾丸は真っ直ぐに発射され、天井を見事に射抜いた。

『なっ!?』
 鉄砲は未だに八夜を捉えておりシミテールは驚きの表情のまま気づく。
 ありえない弾道、その現象。常軌と異なるそれでいて明確な力の摂理。
 己とは異なる妖異が介入した証を。
 認識と同時、シミテールの、崩れた人の面相が苦渋が浮かび走り出す。

 判断は迷いなく瞬時に行われた。不利を悟って一目散に、唯一の出入り口へ走る。
 戸の木枠を掴み自らの体を牽引する、そんなシミテールの知覚がひとつの足音を拾う。
 こちらに近づいてくる飛ぶような靴音。
 間近と気づいたときシミテールは目前、闇から浮かび上がる白刃を見た。

 

 鎧袖一触。
 血風を撒き散らせて人の首が勢いのままに室内へとその身を戻す。
「またつまらぬものを、って、こいつ誰? 顔が半壊してるもんだから思わず振るっちまったが」
 抜き身の刀を構えた状態で悪びれることなく、説明を求めるようにして八夜へ視線を向けていた。
「常茂殿……」
「おう、どうした?」
 安堵からか思わず呟いた名に威勢の良い返事が返る。その力強さに押され八夜は驚きを脱して冷静に必要な言葉を繋げた。
「頭部の蛇を、それが妖異の本体です!」
 転がり漏れた行灯に照らされる一匹の蛇、人の頭部から逃げだそうとしていた。
 常茂は快諾ひとつ。振るう一刀のもとにあっけなく、地を這う蛇は討ち果たされた。

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